ドラッグストアで薬の説明を毎回されるのはなぜ?2026年の年齢確認・1人1箱ルールを店長が解説

ryohei
Ryo
Ryo

ドラッグストアで薬をレジに持っていったとき、こちらから頼んでいないのに、薬の説明をされたことはありませんか?

「何の確認なのか分からない」
「時間がかかる」
「いつも飲んでいる薬なのに、毎回説明されるのが面倒」

そう感じる方は少なくありません。

Ryo
Ryo

現役のドラッグストア店長として働いている私も、お客様から「前も買ったよ」「いつも飲んでいるから大丈夫」と言われることがあります。

急いでいるときに会計が止まり、いくつも質問されれば、面倒に感じる気持ちはよく分かります。

ただし、薬の説明や確認は、店員が商品を売り込みたいから行っているわけではありません。

薬の種類によっては法律上の情報提供や確認が必要です。さらに、2026年5月1日からは、市販薬のオーバードーズ対策として、一部の薬の販売ルールが強化されました。

この記事では、現役ドラッグストア店長・登録販売者の立場から、次の疑問を分かりやすく解説します。

  • なぜ薬の説明を毎回されるのか
  • なぜ年齢やほかの薬について聞かれるのか
  • 2026年5月から何が変わったのか
  • 風邪薬はすべて1人1箱までなのか
  • 身分証明書は必ず必要なのか
  • 説明を断ることはできるのか

先に結論

薬の説明や年齢確認は、お客様を疑うためではなく、薬を安全かつ適正に使用できるか確認するために行われます。

特に「指定濫用防止医薬品」に該当する薬では、2026年5月から、購入者への確認・情報提供・理解の確認が必要になりました。

いつも購入している薬でも、対象となる場合はその都度確認が必要です。

ドラッグストアで薬の説明をされるのはなぜ?

市販薬は、病院の処方せんがなくても自分で購入できます。

しかし、自由に購入できるからといって、誰がどのように使用しても問題がないわけではありません。

市販薬にも、副作用や飲み合わせ、年齢制限、使用できない病気があります。

例えば、別々の商品を購入していても、同じような成分が入っていることがあります。風邪薬と咳止め、鼻炎薬などを一緒に使うことで、成分を重複して服用してしまう可能性もあります。

そのため、市販薬はリスクに応じて分類され、販売できる専門家や情報提供の方法が決められています。

薬の区分販売に対応できる専門家購入時の情報提供
要指導医薬品薬剤師必要な情報提供・指導が義務
第1類医薬品薬剤師原則として情報提供が義務
第2類医薬品・指定第2類医薬品薬剤師または登録販売者適正使用に必要な情報提供に努める
第3類医薬品薬剤師または登録販売者販売時の個別説明は原則として義務ではない

さらに、薬のリスク区分とは別に、過量服用や不適切な使用を防ぐための「指定濫用防止医薬品」という区分があります。

指定濫用防止医薬品に該当する場合は、第2類や第3類の薬であっても、追加の確認と情報提供が必要です。

指定第2類医薬品と指定濫用防止医薬品は別のもの

指定第2類医薬品は、副作用などのリスクに特に注意が必要な第2類医薬品です。

指定濫用防止医薬品は、過量服用や不適切な使用を防ぐため、販売時の確認が強化された医薬品です。

2026年5月から市販薬の販売ルールはどう変わった?

2026年5月1日から、「指定濫用防止医薬品」の新しい販売制度が始まりました。

対象となる薬を販売するときは、薬剤師または登録販売者が、購入者の状況を確認したうえで、薬を濫用した場合の危険性や適正な使用に必要な情報を伝えます。

説明後には、内容を理解できたか、質問がないかについても確認します。

店舗によっては、レジに説明用のフリップや画面が用意されており、それを見ながら確認することがあります。

販売時に確認される主な内容

確認される内容確認する理由
年齢18歳未満には販売できる数量の制限があるため
誰が使用するのか使用者の年齢や状態に合った薬か確認するため
ほかに使用している薬成分の重複や飲み合わせを確認するため
同じ薬や別の対象薬を最近購入したか頻回購入や複数店舗での大量購入を防ぐため
複数個や大容量製品が必要な理由適正使用に必要な数量か判断するため
症状や使用目的薬本来の目的に沿った使用か確認するため

具体的な質問の順番や言い方は、店舗の手順や購入する薬によって異なる場合があります。

ただし、どの店舗でも目的は同じです。お客様を疑うことではなく、薬を安全に使用できる状態で販売するために確認しています。

なぜ販売ルールが厳しくなったの?

大きな理由は、市販薬のオーバードーズが若い世代を中心に社会問題となっているためです。

オーバードーズとは、薬本来の用法・用量を守らず、一度に大量に服用したり、短期間に繰り返し服用したりすることです。

市販薬は身近な場所で購入できるため、「処方薬より弱い」「少しくらい多く飲んでも大丈夫」と思われることがあります。

しかし、市販薬であっても、用法・用量を超えた使用は重大な健康被害につながるおそれがあります。

厚生労働省は、高校生のおよそ70人に1人が市販薬の乱用を経験したという研究結果を紹介しています。

また、SNSなどを通じて、過量服用する薬の商品名や体験談に触れやすくなったことも問題視されています。

そこで、薬局やドラッグストアの薬剤師・登録販売者が販売時に確認を行い、必要に応じて相談先につなぐ「ゲートキーパー」としての役割を果たす仕組みが強化されました。

指定濫用防止医薬品に指定された8成分

2026年5月時点では、次の8成分を有効成分として含む製剤が指定されています。

対象成分含まれることがある薬
エフェドリン一部の咳止めなど
コデイン一部の咳止めなど
ジヒドロコデイン一部の風邪薬・咳止めなど
ジフェンヒドラミン一部の睡眠改善薬・アレルギー用薬など
デキストロメトルファン一部の風邪薬・咳止めなど
プソイドエフェドリン一部の風邪薬・鼻炎用内服薬など
ブロモバレリル尿素一部の解熱鎮痛薬など
メチルエフェドリン一部の風邪薬・咳止めなど

※いずれも外用剤は原則として対象外です。同じ種類の風邪薬や咳止めでも、対象成分を含まない製品があります。

対象製品には、順次「要確認」と分かる表示が行われます。

ただし、表示の切り替えには経過措置があります。そのため、パッケージに「要確認」の表示がないからといって、必ず対象外とは限りません。

「いつも飲んでる」「前も買った」「毎回面倒」への回答

薬の説明をしていると、現場では次のように言われることがあります。

  • 「いつも飲んでいる薬だから大丈夫」
  • 「前にもここで買った」
  • 「毎回同じ説明をされるのは面倒」

どれも、お客様の立場からすれば自然な疑問だと思います。

ここでは、なぜ同じような確認を繰り返す必要があるのかを説明します。

「いつも飲んでいる薬だから大丈夫」

継続して使用していることは、確認する側にとっても大切な情報です。最初に「以前から使用しています」と伝えていただいて問題ありません。

ただし、以前問題なく使用できたからといって、今回も必ず同じ条件とは限りません。

  • 最近、別の薬を飲み始めた
  • 病院から新しい薬が処方された
  • 体調や持病の状態が変わった
  • 短期間に何度も同じ薬を購入している
  • 使用する人が前回と違う

このような変化があれば、以前使えた薬でも確認が必要になります。

また、指定濫用防止医薬品では、いつも使用している方にも、販売時の確認と情報提供が必要です。

店頭ではこう伝えていただければ大丈夫です

「以前から用法・用量を守って使用しています。今飲んでいる薬に変更はありません」と短く伝えていただけると、確認がスムーズです。

「前にもこの店で買った」

前回購入した記録があっても、今日の体調や服用中の薬、ほかの店舗での購入状況まですべて分かるとは限りません。

また、指定濫用防止医薬品では、その薬だけでなく、ほかの対象薬を最近購入していないかも確認項目に含まれます。

店舗や会社が違えば、購入履歴を共有できない場合もあります。

そのため、以前と同じ店舗で購入する場合でも、今回の購入状況を改めて確認する必要があります。

「前にも買った」という情報が無意味なわけではありません。以前から正しく使用していることを確認する材料になるため、スタッフへ伝えていただいて大丈夫です。

「毎回同じ説明をされるのは面倒」

急いでいるときに、会計がいったん止まって説明を受けるのは面倒だと思います。

スタッフ側も、会計をわざと長引かせたいわけではありません。

対象となる薬では、店舗の判断だけで説明や確認を省略できないため、同じ商品を何度購入していても、必要な手順を行っています。

特に指定濫用防止医薬品では、情報を伝えるだけでなく、説明内容を理解できたか、質問がないかまで確認する必要があります。

短い回答で問題ありません

例えば「自分用です」「18歳以上です」「ほかの薬は飲んでいません」「最近、同じような薬は買っていません」と、分かる範囲で答えていただければ大丈夫です。

確認へのご協力をいただけると、会計をスムーズに進めやすくなります。

質問を拒否された場合や、適正な使用を確認できない場合は、薬を販売できないことがあります。

お客様を疑っているのではなく、店舗と資格者が決められた販売ルールを守るための確認です。ご理解いただけると、店頭で働く側としても大変助かります。

風邪薬はすべて1人1箱までなの?

「2026年から風邪薬はすべて1人1箱までになった」と思われることがありますが、これは正確ではありません。

数量制限の対象になるのは、指定された成分を含む「指定濫用防止医薬品」です。

対象成分を含まない風邪薬まで、法律上一律に1人1箱しか購入できなくなったわけではありません。

また、対象薬であっても、年齢や容量、購入個数によってルールが異なります。

18歳未満は小容量の1包装まで

18歳未満の方には、指定濫用防止医薬品の大容量製品や複数個を販売できません。

購入できるのは、原則として小容量の1包装までです。

この場合、氏名と年齢を確認し、薬剤師または登録販売者が対面などで情報提供を行います。

小容量かどうかは、箱の見た目の大きさではなく、用法・用量から計算した日数で判断されます。

  • 原則:5日分以内の1包装
  • 一部の風邪薬・鼻炎薬・解熱鎮痛薬:7日分以内の1包装

18歳以上でも無条件で複数個買えるわけではない

18歳以上の方が、大容量製品や複数個を購入する場合は、必要な理由を確認されます。

家族の分、防災用、長期間の旅行用などの理由があっても、希望する数量を必ず購入できるとは限りません。

薬剤師または登録販売者が、理由と数量の妥当性を個別に判断します。

適正な使用を確認できない場合は、数量を減らしたり、販売を断ったりすることがあります。

なお、同じ指定成分を含む別の商品を1個ずつ購入する場合も、複数個購入として扱われます。

年齢確認で身分証明書は必ず必要?

対象となる薬を購入するすべての方が、毎回必ず身分証明書を提示しなければならないわけではありません。

外見などから18歳以上であることを確実に確認できる場合は、口頭での確認などで対応できる場合があります。

一方、18歳以上か明らかに判断できない場合は、運転免許証、マイナンバーカード、学生証など、年齢を確認できるものの提示をお願いされることがあります。

店舗の手順や購入状況によっても対応は異なります。

特に18歳前後の方が指定濫用防止医薬品を購入するときは、氏名と年齢を確認できるものを持っていると会計がスムーズです。

薬の説明は断れる?

説明を断れるかどうかは、薬の種類によって異なります。

原則として説明や確認が必要な薬

  • 要指導医薬品
  • 第1類医薬品
  • 指定濫用防止医薬品

これらの薬では、法律上必要な情報提供や確認が行われます。

「以前も使ったことがある」「説明書を読むから大丈夫」「急いでいる」と伝えても、資格者が適正な使用を確認できなければ、説明を省略できません。

第1類医薬品では、継続使用で説明が不要だという意思表示があり、薬剤師が適正に使用できると判断した場合に、情報提供を省略できる例外があります。

ただし、その商品が指定濫用防止医薬品にも該当する場合は、指定濫用防止医薬品として必要な確認や情報提供まで省略できるとは限りません。

第2類・第3類でも質問されることがある

第2類・第3類医薬品は、すべての商品で詳しい説明が義務付けられているわけではありません。

それでも、次のような場合は安全確認のために質問されることがあります。

  • 子どもや高齢者が使用する
  • 妊娠中または授乳中である
  • ほかの薬を服用している
  • 持病がある
  • 同じ薬を長期間使用している
  • 症状に対して薬が合っていない可能性がある

なぜ売場ではなくレジで説明されるの?

売場で自由に手に取れる薬でも、実際に販売が成立するのは会計時です。

そのため、対象商品をレジへ持っていった段階で、薬剤師や登録販売者による確認が行われることがあります。

レジ担当者が薬剤師や登録販売者ではない場合、資格者を呼ぶために少し待つこともあります。

これは、レジ担当者が薬の説明をできないから放置しているのではなく、資格者による対応が必要な薬を、決められた方法で販売するためです。

セルフレジを利用した場合も、確認が必要な薬ではスタッフや資格者の対応が入ることがあります。

会計を早く済ませるために伝えるとよいこと

対象となる薬を購入するときは、次の内容を分かる範囲で伝えると、確認が進みやすくなります。

  • 自分が使用するのか、家族など別の人が使用するのか
  • 使用する人の年齢
  • 現在の症状
  • ほかに使用している薬があるか
  • 同じ薬や同じような対象薬を最近購入したか
  • 複数個必要な場合は、その理由
  • 以前から使用している場合は、用法・用量を守っているか

お薬手帳や、現在飲んでいる薬のパッケージ・写真があると、成分の重複や飲み合わせを確認しやすくなります。

すべてを詳しく説明する必要はありません。聞かれたことへ短く答えていただくだけで大丈夫です。

分からないことは、無理に答えを作らず「分かりません」と伝えてください。

会計をスムーズにする回答例

「自分用です。18歳以上です。ほかの薬は飲んでいません。最近、同じような薬は購入していません。1箱だけ使用します」

状況に合っていれば、このように短く伝えていただければ確認しやすくなります。

よくある疑問

薬を乱用する人だと疑われているのですか?

通常は、特定の人を疑って質問しているわけではありません。

対象となる薬を適正に使用する方にも、同じ確認が必要です。

家族の薬も一緒に買えますか?

家族が使用する薬を購入すること自体が、一律に禁止されているわけではありません。

ただし、誰が使用するのか、使用者の年齢、購入数量、ほかの薬の使用状況などを確認される場合があります。

適正な使用を確認できない場合は、希望する数量を販売できないことがあります。

大人でも年齢を聞かれますか?

指定濫用防止医薬品では年齢が確認項目となっています。

18歳以上であることが明らかな場合は、口頭確認などで対応できる場合がありますが、大容量製品や複数個の購入では、年齢や購入理由を改めて確認されることがあります。

セルフレジなら説明を受けずに購入できますか?

セルフレジを利用しても、薬の販売ルールは変わりません。

確認が必要な商品では会計が一時停止し、スタッフや薬剤師・登録販売者による対応が必要になる場合があります。

ネット通販でも確認されますか?

ネット通販でも、指定濫用防止医薬品の確認や情報提供を省略できるわけではありません。

年齢、使用中の薬、購入状況などの入力を求められる場合があります。

18歳未満の方や、大容量製品・複数個を購入する方への情報提供では、条件によってビデオ通話などの方法が必要になります。

店舗によって質問の内容が違うのはなぜ?

法律で確認すべき項目は決められていますが、具体的な手順や質問方法は、各店舗が作成する手順書に基づいて行われます。

そのため、質問の順番や言い方、身分証確認の方法などに違いが出る場合があります。

まとめ|毎回の確認には理由があります

ドラッグストアで薬の説明をされたり、年齢や購入状況を聞かれたりするのは、店員個人の判断だけで行っているわけではありません。

市販薬は、リスク区分や含まれる成分によって販売方法が決められています。

2026年5月1日からは、市販薬のオーバードーズを防ぐため、指定濫用防止医薬品の販売ルールが強化されました。

  • 対象となる8成分を含む薬では確認と情報提供が必要
  • 年齢、併用薬、最近の購入状況などを確認される
  • 18歳未満は小容量の1包装まで
  • 18歳以上でも大容量・複数個では理由を確認される
  • 適正な使用を確認できなければ販売できない場合がある

「いつも飲んでいる」「前にも買った」「毎回の説明が面倒」というお気持ちは、店頭で働く私たちも理解しています。

それでも対象となる薬では、その都度確認しなければならない項目があります。

スタッフも会計を長引かせたいわけではありません。聞かれた内容へ短く答えていただければ、確認をスムーズに進められます。

現役ドラッグストア店長からお願い

レジでの説明や質問は、お客様を疑うためではなく、薬による健康被害を防ぐために行っています。

「以前から使っています」「ほかの薬は飲んでいません」など、分かる範囲でご協力いただけると大変助かります。

説明で分からないことがあれば、「もう少し簡単に教えてください」と遠慮なくお伝えください。

参考情報

※本記事は2026年7月29日時点の法令・厚生労働省資料をもとに作成しています。対象成分や販売方法は変更される可能性があるため、最新情報は厚生労働省または購入店舗でご確認ください。

ABOUT ME
Ryo
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ドラッグストア店長 登録販売者
「現役ドラッグストア店長・登録販売者として、医薬品・化粧品・日用品を日々ご案内しています。専門資格と実務経験を活かし、正確で信頼できる情報をわかりやすく発信。健康や美容に関する正しい知識と商品選びのポイントを解説し、読者の生活を安心して支えるブログを目指しています。」
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